幻想的旅行への誘い おすすめ度 ★★★★★
私がこの映画の存在を知ったのは、ウルトラセブン31話「悪魔の棲む花」の元ネタだと言う話を聞いたからです。宇宙細菌に侵された少女を救うべく、ミクロ化したセブンが体内へ入る話ですが、本作も、手術不可能な脳内出血を負った科学者を、ミクロ化した潜水艇で救いに行く話なのです。ただ本作も、手塚治虫の「鉄腕アトム」の一挿話が元ネタになっているらしいですが…。さてさて、本作ですが、これが面白い。ミクロ化出来る技術があるなら…という考えは潜水艇が体内に入った瞬間消し飛びます。ミクロ化制限時間は60分。乗組員は紅一点を含む五名。敵側のスパイが一名紛れている。体内の白血球や抗体が襲いかかる等、もう目が離せません。しかし何と言っても白眉は体内の美しさだと思います。デザインをあのダリが手掛けた!という誤報が出ても無理はありません(因みに前出の宇宙細菌の名はダリー!)。また潜水艇と司令室は、その後のアポロ11号とNASAのようでもあります。40年以上前の映画ですが、CGに慣らされた現代の映画ファンにこそ観てほしいです。
概要
手術不可能な脳内出血患者を救うべく、人間を細菌以下にミクロ化し、人体内部から治療しようという前代未聞の極秘プロジェクトが開始され、5人の医者が体内へ送り込まれていく。しかし、彼らがミクロ化していられる時間はわずか60分しかない…。 奇抜かつ斬新なアイデアがすばらしいSF冒険映画。シュールレアリストのダリが美術を担当したことで、体内がまるで小宇宙のように思えてくるおもしろさ。白血球や抗体が主人公らに襲いかかってくるなど、アクションの見せ場も多い。 アカデミー賞美術監督賞および特撮視覚効果賞を受賞というのも大いに納得できる名作中の名作である。監督は『トラ・トラ・トラ!』の巨匠リチャード・フライシャー。(的田也寸志)
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