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テオ・アンゲロプロス全集 I~IV DVD-BOX III

テオ・アンゲロプロス
おすすめ度:★★★★★
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「はじめに混沌があった。それから光が来た。」
おすすめ度 ★★★★★

「そして光と闇が分かれ、川と湖と山が現われた。」


『霧の中の風景』がすばらしい。
忘れがたい「画」がいくつもある。息絶えそうな馬の最期におどろき泣き出してしまう弟のうしろを華やかな新婚カップルが宴をおこなうシーン。トラック運転手にいたずらされてしまう少女の惨劇を「扉」だけで語る長回しのシーン。ゲイのバイク乗りの青年と高速道路で別れる、ライトと漆黒の夜だけのシーン。空腹をおぼえた弟が食堂で空きビンをかたづけていると音楽家が演奏を始めるシーン。そして、冒頭の宇宙と、ゆっくりと窓からの光がさしこむシーン。ラストの、霧がはれ、巨木が姿をあらわすシーン。

まったく言いようがない。名作である。



心を鷲掴みにする『霧の中の風景』。
おすすめ度 ★★★★★

『霧の中の風景』は、子供をとりわけ少女を見つめた映画の中、エリセの『エル・スール』と双璧をなす傑作。
十二歳の少女ヴウラは幼い弟と共に父親がいると信じるドイツへと旅をする。それは幼い姉弟には過酷にして数
奇な旅となる。初見は15年以上遡るが、現実と心象が入り交じる美しいイメージの連続に息を呑んだ。降る雪
を見上げたまま凍り付いたように立ちつくす人々の間を駆け出す姉弟。雪の中で息絶えていく白馬。海面から浮
上する巨大な手。少女を辱める非情な場面の後(最初の印象では直後に感じていたが、その後見直してそうでな
いと認識した)ヴウラが水辺にしゃがみ込むシーン。私は心を打たれた。映画の中であんな瞬間に出会うことは
稀だ。画面全体に漲る哀しみ。その髪に、肩に、打ち寄せる波に。空も砂も画面の隅々までが哀愁で濡れそぼつ。
15年の間に幾度か見返すうち、あの場に宿る感情は「哀しみ」そんな言葉では表しきれないと気付いた。私の
中で少女の恋が膨らむ。こんな映画だったんだと分かって、明け方ベッドを抜け出したヴウラが青年の部屋へ忍
んでいく場面の決心の重さにまた心が震えた(彼は外に出ていて部屋はからっぽなのだが)。夜の街道で青年が
少女を抱きしめる場面。水辺のダンス。オートバイの背で今が続けばいいと言ったヴウラ。アンゲロプロスは幼
い恋を悲劇的に、けれど温かく点る希望として描いていた。旅の途上で出会う旅芸人の一座はその歴史の幕を閉
じようとしている。けれど最初に登場する、通りを歩いてくる場面では何処かユーモラスに、風格と威厳を漂わ
せて素敵だ。何も映っていないフィルムに「一本の木が見える」と青年はからかったが、姉弟は霧の中にその木
を見つける。現実の旅はけして終わらない。けれど姉弟にとって一つの旅が終わったことを暗示するなんと癒し
に満ちたラストシーンであったことか。



霧の中のハリネズミ
おすすめ度 ★★★★★

絵本もありますが、できればDVDでみてほしい。動きがかわいすぎなのです。そしてかわいいだけでなく、寂しさも抱えている・・・。そこがいいんですな。
アニメーションじゃないのですが、フラーニャと私は初の画文集。『話の話』『霧の中のハリネズミ』『キツネとウサギ』『アオサギとツル』そして未完の傑作『外套』収録しています。ぜひ。



どうしてここまでやれるのか・・・・
おすすめ度 ★★★★★

アンゲロプロス様の映画は本当にもう
毎回毎回毎回毎回〜ケレンの塊のような画を見せてくれる訳ですが、
こんだけテクニカルな映像をこれでもかとこれ見よがしに見せ付けられているのに、
毎回やっぱりスゲーと思ってしまうのが凄いとこだと思います。
群集の壮大さを描いてみても、個人の孤独感を際立たせてみせても、
ちょっとやっぱり数多の監督たちとはレベルが違うところに至ってしまう、
で、未だ健在で相変わらずクオリティの高い映画を撮り続ける体力。

私は「霧の中の風景」が一番好きなんですが、
この中でも「もうこのオッサンなんちゅうことすんのや・・・・」という位のあざとさが一杯で、
でも死ぬほど泣かされている自分に気が付く訳です。

子供が成長したときに見て感動してくれたらいいな〜と思い、
一生モノとして購入しました。



現代の蘇る英雄伝説
おすすめ度 ★★★★★

ついに登場した巨匠の全集の発売に、何よりも、それに踏み切った紀伊国屋書店には頭が下がります。
一部の人々には熱狂されるものの、一般的でないがために、ともすると消えてしまいかねない作品群が、こうして形になってことは本当に喜ばしい限りです。
第Ⅲ集には、ヴェネティア映画祭で金獅子賞受賞の「アレクサンダー大王」が収録されています。近頃、ハリウッド映画で大作「アレクサンダー」がロードショーされましたが、直接古代ギリシャのアレクサンダーを描いたこのハリウッド映画より、アンゲロプロスの現代の盗賊で描かれるアレクサンダー大王のほうが、歴史上のアレクサンダーを知っている人ならば、その真実を的確に描いているように思われます。
「旅芸人の記録」のように、歴史とその戦いの中で傷ついていく人間の旅を描いているのではなく、古代の一人の人間の生き方を現代に置き換えて、その伝説と真実を描こうとしています。
無敵で不敗のうちに死んだ、ギリシャ人の誇りでもあるアレクサンダー大王とは、こういう生き方をした人だ、ということを、アンゲロプロスは現代に描こうとしたのではないでしょうか?
そこには、英雄崇拝でも、肯定的に描かれているわけでもなく、こういう生き方をどう思われますか、というメッセージを詩的に淡々と描いています。時間を感じさせない長い映画ですが、他の作品同様、至福の恍惚と時を私は、過ごすことが出来ました。


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