名作だけどスペシャル・エディションを買った方がいい おすすめ度 ★★★★★
1970年代から1980年代前半までのシドニー・ルメット監督の作品は名作の目白押しで、「セルピコ」「オリエント急行殺人事件」「ネットワーク」「プリンス・オブ・シティ」「評決」そしてこの「狼たちの午後」とレベルの高い作品を発表し続けました。本作では場面のほとんどが銀行に限定されているにもかかわらず、最後まで飽きさせません。「十二人の怒れる男」や「オリエント急行殺人事件」でも限られた空間内での演出がさえていました。
またアル・パシーノはどちらかといううとオーバーアクト気味の役者ですが、この作品ではうだるような熱さと、銀行強盗がうまくいかなかったための苛立ちがうまく表現されており、彼のベストアクトでしょう。強盗仲間のジョン・カザールも持ち味を活かしており、命を脅かされている人質に対してタバコの害を説く場面はユーモラスですが、その後、皮肉にも彼自身が若くして肺癌で死去しています。熱血刑事をやらせたら右に出るものはいないチャールズ・ダーニングも熱演しています。
作品的には名作に間違いないのですが、出来ればこの1枚のではなく、吹替え、特典映像付きの2枚組の購入をお勧めします。少し値段が高くても特典映像は充実しているし、吹替えは野沢那智(アル・パシーノ)、岸田森(ジョン・カザール)、富田耕生(チャールズ・ダーニング)です!
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