日本映画の良さとはおすすめ度
★★★★☆
感動的な山岳映画、教育映画です。(確か興業はこけて聖職の足踏みとか言われましたね。それは八甲田山より地味で重いテーマだったからでは)
この映画、思い入れがありつつも、いざDVDを買ってみて発売元の姿勢に残念であると感じました(ほとんどおまけなく若い人たち、長野県出身者や山愛好家以外の方にアピールしていません。)。
この映画の制作時私は中学生でこの映画のごとく学校登山を行った者です。当時14歳で学校登山の意味がわからずこの映画を「見させ」られました。娯楽作品を期待していた私は後半の40分ほどの嵐のシーンで興奮しましたが今みるとずいぶん地味な映画だったと感じました。先生は「ちょっと難しい映画だったかな。」と言いましたがたしかにその通りでほとんど理解できていなかったことが今おもいだされます。今だからわかる台詞のひとつに三浦友和の「この毛布これからも必要です。」(1:34)[これは若い教師が校長の心に共鳴し理想主義から真の教育に一歩踏み込んだ瞬間の台詞]があります。DVD時代の今、何度も鑑賞できるDVDに東宝映画にもう少し腰を入れていただきたいと思います(他の日本映画にも同様です)。例)記念碑は1時間以上登山をしなければたどり着けない場所ですのでそこで三浦友和、中井貴恵らがどのようなところでロケーションしたのか地図などをつけてほしかった。ケースの地図(ほとんどみせていない)を見ながら私は鑑賞しました。そしてほとんどが実写ですので長野の隠れ名山将棋頭山、駒ヶ岳を美しい山岳写真や映像をつけてもよかったし。下界での撮影は大変よく山が映っています。ロケ地を紹介していただきたいと思いました。
こういう隠れ名作を掘り起こしもっと親しまれるDVDにして日本の映画の良さを知らしめるよい機会としてDVD等のメディアを活用してほしいと思います。
今改めて碑(いしぶみ)に向かうおすすめ度
★★★★★
私は少年院の教官として生きてきましたが,若いころ,この仕事を始めしばらくして,この映画が封切られました。職場の先輩から声を掛けられて一緒に見に行き,原作も読んで,大変感銘を受けました。その後,私は実際に長野県にある少年院に勤務して,少年院の在院生60名と一緒に燕2776Mに登山する機会に恵まれました。作品は学校登山の話ですが,信州の人たちが,どれほど山を愛し,山に鍛えられ,山に育てられているか,そしてまた,若者たちを,山で鍛えようとしているかを知ることが出来ました。
それ以来,機会あるごとに,後輩の少年院教官たちに,この原作を読むことを薦めていたのですが,映画を作った会社の方にメールで確認したところ,残念ながら,映画の方は事情がありビデオになっていなかったようです。応対してくださった方は,その時,見ず知らずの私に,手持ちの録画ビデオを郵送し貸してくださいました。今でも,その方の親切は忘れておりません。
それが,2年前にDVDになったことを,最近知りました。それは,私がこの作品を薦めた後輩に久しぶりに会う機会があったところ,逆に私に,「以前,この作品のことを教えてもらったときにはビデオにはないと言われましたが,DVDになったので,購入しました。」と教えてくれたのでした。ずいぶん前に教えたことを,ちゃんと覚えていてくれました。彼は,私の思いを,次の世代に繋いでくれることと,ひそかに喜んでいます。
定年まで数年となった今,改めて,碑に対峙したいと思っています。教育とは何か,教育者とは,と考えるすべての人に,原作必読,映画必見と,お勧めします。
教育と登山
おすすめ度 ★★★★★
時は大正、長野県の中央アルプスと南アルプスの谷間の村の中箕輪尋常高等小学校では教師たちが教育の在り方についてもめていた。鍛錬こそが子供をのばすという校長と個性を重んじることが重要だという若い教師たち。そんな中で校長は鍛錬主義の実践の場である中央アルプスの主峰「西駒ヶ岳」への学校登山を行った。少年数十名、教師3名、OBの青年たちは順調に登山を進めたものの山小屋に着くとそこにはあるはずの山小屋がない。そして彼らは山の頂で一晩をあかすことにした・・・
明治から大正へと時代とともに思想も駆け抜けていきその先導者であるべき教師たちもまた悩んでいる。そして教育の問題から大悲惨時が発生する。教育県といわれた長野の姿、そして今でも続いているという西駒ヶ岳への学校登山には何人も感嘆せずにはいられないことだろう