もっとブランド、勉強しようっと。 おすすめ度 ★★★★★
東直己の最新作は文庫書き下ろし。 「古傷」は私立探偵・法間謙一が主人公の中篇。 法間はもちろん(のりま)と読むのだけれど (ほうかん)と呼ばれることの方が多い。 というのもまさに幇間並みの「よいしょ名人」だからである。 出会う人間のありとあらゆる部分を褒めまくり、相手をいい気分にさせて、仕事を進めていくのである。 もう一つ、法間の得意芸がブランドに詳しいことで、 特に相手が女性だと、この特殊能力が威力を発揮するのである。 ねえ。 「グロッセ」に「アッチェント」、「ラ・スクワドラ」に「デッチマ」、挙句の果てが「ウルスラ・コンツェン」なんざ、分かりますか? どうやらすべて女性向けのファッション・ブランドらしいんだけど、 相対する女性の服装やアクセサリーを一目で見切って、 即座に褒めまくる、というのが法間の手なんですね。 いや、ホントに。全部知りませんでしたよ、ワタシは。 ようやく、「エトロ」あたりで知っていた程度。 東さんもキチンと取材なさってますなあ。素晴らしい。 非才な当方には眩しくっていけませんや。 って、口調が移っちまったよ。 軽ぁるく、2時間で読みきれる分量ですが、お買い得じゃあないでしょうか。
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