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羊たちの沈黙 (特別編)

ジョナサン・デミ
おすすめ度:★★★★★
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これほど精神的にやばくさせる映画は後にも先にもない。
おすすめ度 ★★★★★

FBI訓練生クラリスがレクター博士に合う場面。
レクターが立って彼女を迎えているのに驚いた。彼女を見て立ち上がったのではない。
初めからわかっていたの!?エスパー!?(後に音声解説で納得。)
最初から全力全開で博士の恐ろしさを堪能させてくれます。

この後の質疑応答の場面も博士のいかれぶりが素晴らしい。いかれぶりと書きましたが、
IQはずば抜けて高いのですが、使う方向が邪悪です。
博士はそんな人なんだなあと思いました。

事件の犯人もかなりのサイコっぷりを見せてくれます。
最初見たときは小学生でよく分からなかった。怖いというからなんだよと思いましたが、
しかし、分かるほど賢くなくて良かった。
分かったらあまりのおぞましさに夜寝られず、人間不信に陥り、
精神的にいびつな青年になっていたかもしれません。って言いすぎかもしれませんが。

レクターの異常性、クラリスのまっすぐさが渾然一体となって
ものすごいきらめきを放つ映画になっています。
とはいえ、精神的に来る映画です。見る人を選ぶでしょうが、
この演技力、演出、脚本、編集は見事。17年たった今でも充分見れます。



プロファイラー対殺人鬼を描いた頂点でもあり原点。
おすすめ度 ★★★★★

 犯罪物は好きでも猟奇殺人がテーマとあって劇場には足を運べなかった。後になって恐々と見た。あまりの出来の良さに驚いた。本作は異例のアカデミー賞受賞作でもある。大抵アカデミー賞狙いは年末ぐらいにアメリカで公開されるがこれはアカデミー賞の前年の夏公開であること。そしてテーマが猟奇殺人を扱っていることなど。
 オープニングのシーンからこの作りは、ただの猟奇殺人ものではないと思わせた。クラリスがセリフもなく黙々とトレーニングコースを走って障害をこなしていくところである。スタントなし。演出・撮影・編集とても良い。そして射撃練習のシーン。わずか数秒とは言え発砲シーンでは目を閉じてない。「リーサル・ウェポン」のメル・ギブソンは引き金をガク引きしていたり目を閉じていたりとガンマニアでは話題になった。
 現場へ向かうシーンでも上司と話している最中に車がトンネンルに入っていくのも暗示的。容疑者宅での引きつるような愛想笑い。いよいよ容疑者との対決でもまずコートを脱いでシャベルをドアに立てかけるところも、S&W M10で6連射してもすぐ弾込めをするシーンもとてもリアルな出来だ。放たれた銃弾によって開けられた窓には横たわる小さな星条旗。深読みすればきりがないほど。



緊張感ある演出もさることながら俳優たちの演技と存在感も見事であった
おすすめ度 ★★★★★

 連続殺人事件が主題だし、ショッキングな描写もあるし、一歩間違えれば3流ホラーにもなりかねない題材だが、ジョナサン・デミ監督の演出力と出演者の力量で名作の域まで高めているのは見事と言う他はない。緊張感ある演出で特に最後の犯人のアジトに向かうクラリスとクロフォードの同時進行のデミ監督の演出は見事。
 もちろん有名な原作の素晴らしさもあるが、映像として見た場合は顔の見える配役も重要な要素で、この映画では中心になる3人を演じる俳優が皆良かった。
 レクター博士はアンソニー・ホプキンス以外の俳優は今となってはもう考えられない。それほど適役で見事にはまっていた。もちろんジョディ・フォスターもよかった。(個人的には「ハンニバル」のジュリアン・ムーアは非常に違和感があった)
 しかし、もう一人の重要な出演者であるスコット・グレンの存在感も見事であった。スコット・グレンは一見地味ですが、名脇役で多くの映画で渋い演技を見せてくれており、彼のフィルモグラフィには「ナッシュビル」「ライトスタッフ」「シルバラード」「地獄の黙示録」「バックドラフト」など70年代後半から90年代前半までの名作・佳作が多くある。
 原作ではスコット・グレンが演じるクロフォードは、家に帰ると病気の妻の看病をしている描写もあり、彼の人物像がもう少し深く描かれていれば、より完全な作品になったのではないでだろうか。作者としてはクラリスVSレクターに話をしぼりたかったのかもしれないが、クロフォードが部下であるクラリスに気のある中年の上司程度の描かれ方だったのが気なった。


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