中盤までの不安感は良いのだけれど・・・おすすめ度
★★★☆☆
話題になった、映像化された、ストーリーはうすうす伝わってきていた。
そうしているうちに、本屋さんでの扱いが少しずつしぼんできたので、
ヨシッと買って読んでみた。
若年性アルツハイマー症と診断される前後までの、
佐伯さんの不安感は身にしみてよくわかる。
しかし、終盤の終盤に至っても、まだ佐伯さんの内側からの目で
話が展開していくのには、違和感があり、無理を感じた。
破綻はしていないけれど、エピソードを効果的にならべるために、
症状が都合よく利用されている。
締めくくりの姿がいやがうえにも想像されるころになっても、
佐伯さんの思いに救いようの無い混乱はない。
本当にそうか?
こんな風に症状と気持ちが進行していくのか?
多くは語られていないが、
病気がわかってからの佐伯さんの奥さんの思いや行動について想像をめぐらすと、
妙に現実感があって、そこに書かれていない真実を感じた。
出来と不出来がない交ぜとなって、評価は星3つとした。
発芽玄米・・・飲もうかしら(笑おすすめ度
★★★★☆
ずいぶん前に、映画?を見て、
うわぁっ、怖いと思ったのですが、
やはり、活字になるともっと怖い。
どんどんと記憶が失われていく様子が、
主人公の書く日記の様子(誤字とか、漢字がひらかなになったりとか)から伺え、
道がわからなくなったり、名前がでてこなくなったりと。
なんか、アルコールで日々脳みそが破壊されている私には思い当たることばかりで。
記憶を失うということは、自分を失うということなのだろうか・・・
ある程度、年老いてからならとにかく、
主人公のように若年性のアルツハイマーは、あまりに影響が大きいです。
発芽玄米・・・飲もうかしら(笑
泣いた泣いたおすすめ度
★★★★★
先にDVDを見て感動し、その後に本書を読みました。感動するねぇ。泣いた泣いた!
共に日々を生きてきた人々に、私の記憶があるおすすめ度
★★★★★
受賞→即映画化。悲劇。
自分にとっては鬼門の二つが重なってるので、羊を数える代わりにでもなればと思って買ったのですが、とんでもない。大当たりでした。
肩の力が良い意味で抜けた五十絡みの主人公は広告代理店の営業部長を肩書きにもつ、「周囲から慕われる」人格者。物語のテーマが重いわりに読後感が爽やかなのは、この主人公の性格に拠る所が大きいと思います。自分の悪い所は素直に認め、また病魔に囚われた自分を利用して利益を得ようとする輩にも、必要以上の抗議を行わない。
悪いのは自分か?Xか?病気か?
ここでついついXを選択してしまい、例えば離婚や、家庭内暴力の道へ進む話なんて、現実世界に掃いて捨てるほどあります。
彼を心から愛し、献身的に「伴走」する妻の助力もありますが、主人公はしっかり「悪いのは病気」であると認識した上で、大切な記憶を守るため、また、プライドを守るため。そして、彼が人生の集大成であると自ら決めた「娘の結婚式」まで、自分らしい自分──スーツをカッチリと着て会社へと毎朝出掛ける父(夫)──を保とうと必死に頑張ります。
その頑張りは空転したり、時には逆回転していたりするのですが、見ているこっちが思わず涙してしまうほど一生懸命です。
そして感動のラスト。
若年性アルツハイマーという、夢も希望の無いはずの病気を主題に据えた作品である本作にとって、もっともあり得るラストなのですが、どこか爽やかで、ほんの一握りほどではありますが、明るい希望が感じられます。これからの彼を、過去の彼が得てきた様々なものが支えて行くのだろう、という未来を予感させ、あたたかな涙が流れてきます。
幸いにして周囲にアルツハイマーに罹った大切な人は居ませんが、もし今後そういう局面に立ったら、もう一度読んでみようと思った作品です。
自分が罹ったら、周りに勧めます。
文句なしの五つ星です。
未読の方はぜひ購入して読んでみてください。
悲しい話なのに悲壮感は無い
おすすめ度 ★★★★★
50歳で若年アルツハイマー発症ですから、状況だけ言ったらとてつも無く悲惨な状況
なのですが、主人公の必死に生きていこうとする姿勢から、悲壮感と言うより、応援
したくなります。
個人的に、一番心に染みたのは、娘の結婚式が終わるまでは、現役でいたいと閑職に
飛ばされても職場にしがみつき、頑張り続けること。これは同じ親を持つものとして
非常に良くわかります。
妻と、お互いがこのような状況になったら、相手が自分の事を忘れてしまったら、
どうなってしまうか話をしました。家族の関係を見直す意味でも本当に良い話です。