シェリー、卒業が収録された名盤おすすめ度
★★★★★
何といっても尾崎の代表曲中の代表曲、シェリーと卒業が収録されているアルバムだ。特にシェリーは尾崎の人生そのものを凝縮して表現されていると評される、知らない人にはぜひ聴いてほしい曲だ。
“あの頃は夢だった/夢の為に生きてきた俺だけど//お前の言うとおり/金か夢か解らない暮らしさ”“転がり続ける俺の生き様を/時には不様な格好で支えてる”“何時になれば俺は這い上がれるだろう/何処に行けば俺は辿り着けるだろう/俺は歌う 愛すべき者すべてに”
挫折した人間の思いを表現していると読める歌詞は、これを聴く同じ経験をした全ての人に、強い共感と励ましを与えるだろう。
ライブCDラストティーンエイジアピアランスのシェリーもいい。
そして、ただ、流されるままに学校を過ごして、流されるままに卒業する、それでいいのか、と、社会に、自分自身に問い掛ける卒業も素晴らしい。
その他にもスクランブリングロックンロール、ダンスホール、存在、バラードの、群衆のなかの猫、TEENAGE.BLUEもお薦め。尾崎ファンなら必聴。
研ぎ澄まされた感性。おすすめ度
★★★★★
デビューアルバム「17歳の地図」の完成度があまりにも高かった結果、尾崎は自分自身に非常に高いハードルを課してしまったわけだが、彼はそこからさらに奇跡的な成長を遂げ、前作を越えるこんなに素晴らしいアルバムを作ってしまった。
歌われる世界も一気に広がって、学生から大人まで楽しめるアルバムになった。人生の岐路で迷ったときにこのアルバムを聴きたくなる人は多いであろう。
しかし、こんなアルバムを10代でつくってしまったことは、世界的にみても、尾崎が早熟の天才であったことを示している。今聴いても、とても未成年の青年が作れる内容じゃないなと感じる。
そのあまりにも鋭敏な感性と、その感性をコントロールできる抑制力がなかったこと、あるいは抑制しようとしなかったことが、結果、尾崎の若すぎる死を招いてしまったわけだが。
「アクセルは常に踏みっぱなし、ブレーキなんてくそくらえ」と突っ走ってしまえる、まさに命がけの気持ちがなければ、こんなに優れた作品はできない。そして、そんな気持ちを持って曲作りに挑むことができたのは、後にも先にも尾崎しかいないだろう。
代表作ですな。おすすめ度
★★★★☆
「夜の校舎 窓ガラス 壊してまわった」というフレーズが余りにも有名な「卒業」を含む尾崎豊の代表作。テーマは「十七歳の地図」の流れを継承し、「自由と愛」なのだろうが、楽曲面、歌唱力の成長が著しい。
一曲目の「Scrambling Rock n' Roll」の疾走感から始まりミドルテンポの「Bow!」、デビュー前に書かれたという名バラード「ダンスホール」等、バラエティーに富んだ名曲・佳曲がバランス良く並ぶが、やはりハイライトはラストの「Shelly」だろう。愚直な程に真直ぐな詩が胸を打ち、Liveでは必ずアンコールで歌われていた代表曲の一つ。
このアルバムで圧倒的な支持層を得て彼は一躍アーティストとしての地位を確立する事になるのであるが、同時に決定的に「十代のカリスマ」というイメージがつきまとう事になるきっかけとなる。そういった意味ではこのアルバムが後に彼本人を苦しめる事になったのかもしれない。
いずれにせよ、尾崎豊の最大の魅力の一つである、「年齢とアンバランスなアーティストとしての完成度」がもっとも顕著な代表作。