ここ1年ほど、何度となく本書を読み返している。若い人にはぜひ本書をお勧めしたい。本書は決して「憂鬱な45歳」に向けた書ではない。ピラミッド構造から蜘蛛の巣構造への転換に対しての本質的な理解がないままに組織に埋没してしまう若者に対する警鐘と言えるでしょう。
プロフェッショナルとしてどれだけ「時間」を意識し、周囲の環境変化や人間関係のつながりに注意を払って仕事をしているか。既存ピラミッドの中堅以上の内在的論理を疑わぬままに受け入れることによって、そうした意識は次第に失われていくでしょう。
いま資源高や円安によって大企業の決算が好調を示しているため判りにくいが、蜘蛛の巣構造を早く意識に取り入れて仕事をしている層と既存ピラミッドで仕事をしている層とでは実質的にかなりの格差が開いているはずです。
個人的には第5章で著者が触れている、日本の若者に見られる新しい兆候に注目!アングロサクソン型のビジネスエリート社会に対してうさんくささを感じ、むしろ泥臭さや理不尽さに立ち向かう若者たち。ここ数年そうした選択をした若者が自分の周りでも増えてきた。大いに期待したい。
ぶんなぐられましたおすすめ度
★★★★★
2005年に46歳を迎えた、まさに、パラサイド・ミドル世代の者です。
一部上場企業の役職者でしたが、仕事がおもしろくないのでその年に退職し、未だ無職です。
たまたまNHK教育の「ビジネス未来人」という番組を見ていて司会者の三神さんの経歴に「イラストレーター」とあったので不思議に思って調べていたら、この本に出くわしました。
私にとって、この本はまさに「衝撃」の一冊となりました。
「一生懸命働いてきたのに、なんでこういうことになるんだろう」と理不尽に思っていましたが、その背景に少なからず日本社会の世代的特徴があり、我々は不幸な世代であることを知り、愕然とするとともに「なるほど」と思いました。
「業務遂行能力に劣っている」「開業しても失敗する確率が高い」と打ちのめされながらも成功する手段をアドバイスしているので、座右の書として、これから励みたいと思います。
ここ数年感じていた憂鬱が晴れるとき・・・おすすめ度
★★★★★
ここ数年変わらなければいけない状況に陥り、意を決して望んだ改革も見えない壁に阻まれて中途半端になってしまった。
何に阻まれたかというと、毎日のように背を見て仕事をしてきた上司のだったような気がしている。
いつの間にか上司の背中を見ても何も学ぶことができず、年を追うごとに落胆せざるを得ない自分たちの将来像を見せつけられて失望に向かう。若者たちは夢も希望も持てずに会社を去っていく。
三神先生が書いてくれた内容は自分が日々感じてきたことを、そのまま言葉にしてくれたような気がしている。45歳の湯鬱が一部は45歳以下の年代にも浸透してしまい、もはやパラサイト・ミドルだけの問題では無いのかも知れないと思えて来ます。
先生が言うように、パラサイト・ミドル層に何かを求めても何も出てこなかった、という経験からすると、確かに傍観者なのかも知れません。これから先を考える上で、三神先生の書かれた内容はとても示唆に富む内容でしたし、見えない壁がよく見えてくるような気がした1冊です。
45歳に捧げる本
おすすめ度 ★★★★★
一定規模以上の企業に所属する45歳以上の中間管理職が、
なぜパラサイトミドルとも呼びうる状態になってしまったのか。
冒頭部分は45歳に対して、かなり厳しいメッセージが続き、
そこだけを読むと、すべての問題が45歳以上の中間管理職に
あるかのように捉えてしまいがちであるが、実はこの本は、
特定の世代を批判したものではなく、それを日本の構造的な問題
として捉え、多くのデータをもとに分析したところにこそ、
この本の深さがある。
現在の楽天や、少し前のライブドア。
最近、M&A関連の話題が多いが、今後、外資なども
積極的に日本へ参入し、M&Aの動きはさらに加速するという。
そのような流れのなかで、45歳はどのようにして自分の身を
守り、戦うための武器を獲得していけばよいのか。
最後まで読むと、著者の「45歳に捧げたい」というメッセージの
意味が、とてもよく分かった気がする。