人事は何を見るのか?おすすめ度
★★★★☆
日本においても、買収、統合、合併は珍しくなくなった。
本書では合併に伴う人事のシナリオ、裏と表がデータをベースに語られている。
なかでも
「第二部 ヒトのデューデリ 何を見られるのか?」
は怖いが、読んでおく価値がある。不動産や企業、事業と同様に各個人も
デューデリジェンス(詳細調査、査定)されるという。
一方でヒトに対する配慮も記されている。
p226
合併時は、人数的・心理的・資本的に弱者になる側が常に
現れ、卑屈な状態になります。彼らに対しては、特にオー
プンに、稼ぎモデルを還元してあげることです。
しかし、平等と、公平と、公正は違うとの指摘がズシンとくる。
多大な労力をかけ取材した結果をもとにした内容おすすめ度
★★★★★
本著は、三神氏が多大な労力をかけ取材した結果を
もとに書き上げたもの。
母数となる取材件数が多く、それだけ労力をかけた結果であるが
それらをもとにまとめられており、内容には興味深いものがある。
数値だけでは知り得ることができない一面を本著は紹介している。
つかみ所が無い・・・。おすすめ度
★★★☆☆
体系的ではなく、個別のテーマごとにエピソードが語られる。
それはそれで興味深いものだが現象の紹介に終始していて、総じて浅い印象。
いずれにしても固有名詞が少ない。あれば説得力が増すのに。
またこれは好悪分かれるところだが、直接的な著者の主張はほとんどみられなかったのは個人的には不満。
合併を経験したときにそなえておすすめ度
★★★★★
少々興味本位でこの本を買いましたが、列挙されている具体例は息を呑むようなものが少なくありませんでした。
私はいま合併作業中の企業に在籍しております。この本にかかれているような事例もいくつか経験ているところです。しがない末端の社員としては合併してできた社の枠組みに従って流されていかざるを得ないこともあり、それゆえこの本で紹介されている事例はとても切実に感じました。合併両社の経営層、人事上層部がこの本を読んで組織形成の参考にしてくれることを祈っています。人事面の配慮を欠いたばかりに、合併後に社員が大量流出してしまうような事態になっては何のために合併したのか、わからなくなってしまいますから。
日本とヨーロッパ、アメリカそれぞれでの合併時の比較などもあるので経営関係や組織論でレポートを書く必要のある学生さんも一読の価値があるのでは。
それに、あなたが将来就職する会社がいつ合併を経験するかわからない時代になりましたから、心の準備を兼ねて一読されますことを。
概要
本書は、合併企業50社を実際に取材したジャーナリストと合併現場を体験した人事コンサルタントが、合併の実態を冷静かつ生々しく開示した本である。 昨今、日本経済の厳しい状況下で、水平合併や企業集団内の合併が大幅に増加しているが、著者によると合併はコミュニケーションの交錯とアイデンティティーの崩壊を同時に招くという。その過程で、企業内で働く従業員は個人の価値観をゼロから定義し直す困難な作業に直面させられる。
本書の狙いは、暗中模索で繰り広げられる合併人事の状況を可能な限り開示することによって、無用な誤解や混乱を避けて、従業員、企業人事部の人たちが正しく合併に対処するためのヒントを提供することにある。
2部構成になっており、第1部では「エゴの衝突」と題して、合併の現場で何が起こるのか、日本企業および外資系企業の実例を織り交ぜて生々しく解説している。内容は社長の決まり方、人員削減、合併後の混乱などについて複数の企業実例が書かれている。
第2部では「人のデューデリ」と題して、合併の際に避けて通れない人材評価・選別について解説されている。ここでは、実例を織り交ぜて従業員および管理職の能力評価、アセスメント(将来性選別)から始まって、合併人事に伴うキャリアや合併人事の理想と現実にまで踏み込んで書かれている。
われわれが日ごろ新聞や雑誌などで見る合併に関する記事の多くは、表面的なきれいごとか、または誹謗中傷のゴシップに近いものかの両極端である。そのなかで本書は、複数の日本および外資系企業の実例を織り交ぜ、合併経験のある人事関係者の監修を受けたうえで書かれている。(木村昭二)