素晴らしい空気感おすすめ度
★★★★★
2巻ではエンジン不調で逃げ回るだけ、3巻ではお客さん(トマホーク)を乗せていたおかげで
「飛ぶ姿」に見せ場のなかった雪風が、この巻では「これでもか!」と縦横無尽に飛び回ります。
分けても日本海軍の空母からの発着艦は圧巻で、雪風=メイヴのすさまじい性能が垣間見れます。
後席にブッカーを乗せて地球へとまるで遊覧飛行のように飛んでいる場面も大好きです。
全巻通してもっともっと飛ぶ姿が見たかったな。
原作では「自己の目的のために人間を拒絶する機械」という、今となっては古めかしくなったテーマが
提示されていますが、このOVAはそれを越えた、より希望のある新しい機械知性と人間の関わりを
描こうとしているように思われます。
それを見る人に提示する大切な場面であるエディスとクーリィ准将の会話の場面や、
ラストのジャムに捕われた雪風の場面が消化不良のまま終わるのが残念ですが。
でも、原作と出会ってから十数年、映像化を待ち続けた甲斐がありました。
南極上空を日本海軍の戦闘機をぶっちぎって飛ぶ雪風を何度夢に描いたことか。
空母艦上を吹き過ぎる冷たく、じっとりと湿った空気の表現は素晴らしいの一言に尽きます。
リン・ジャクスンの無邪気さおすすめ度
★★★★★
艦隊+メイヴ VS ジャムの戦闘シーンは良い。「対空ミサイル発射!」の台詞は何とかして欲しいと思った…。航空自衛隊の協力のおかげで航空関係は充実しているが、海上自衛隊の用語についてはやはり不足している感は否めない。とはいえ細かく見ていくと、タイプ2のジャムが増速した時の翼形状変化、イージス艦の主砲連射シーン等々、見所は結構多い。
戦闘シーンに目が行き勝ちだが、リン・ジャクスンにも注目。ブッカーと零に初めて会った時の様子は少々わざとらしい感じがして引いてしまうかも知れないが、こんな無邪気なおばさんはなかなかお目にかかれない。素でこの調子であれば、零が目を丸くして驚くのも無理はない。
全体を通して割と明るい雰囲気なのは、この巻のヒロイン(?)、リンおばさんのおかげだろう。
この巻、好きだなー。。。おすすめ度
★★★★☆
原作を二冊読破して一巻から通して見ていますが、この四巻好きですね。「最初からこの調子でやれなかったかい…」と愚痴がでるようなよいできです。アドミラル56(日本海軍の空母登場!)への雪風の着艦、離陸シーンは必見です。原作は抜きにして、このあたりだけでも相当楽しめます。
しかしながら残念なのは、深井零の声をあてている、堺雅人さんの英語の下手さ(堺さん、早稲田大学中退の割にはひどいよね…声優をやるのなら、もっと語学の勉強をして下さい。お願いします。素敵な声なのにもったいないですよ)。現役パイロットがあの英語で、管制塔とコミュニケーションが取れるのか怪しいくらいの下手さで、これには泣きました。それに比べて、ブッカー少佐役の中田譲二さんの英語の上手な事!(かなり流暢です)二人の英語のやり取りを聞いていると、ブッカー少佐が零をおちょくっているように聞こえます(それはそれで楽しかったですが)。これがなければ星5つでしたね。ともあれ、次巻に期待!!!
原作は抜きにしましょうよおすすめ度
★★★★★
原作と比較することはあまり意味がない。DVDはDVDとして評価すべき。さてこの回だが、とにかく雪風の機動がすごい。航空工学の最先端の機動だ。現に現有機でも似たような機動の出来る機体は存在する。メイヴはその進化型だ。主翼も動翼面として機動性を高めている上、エンジン推力を利用してホバリングする「コブラ」までやってくれるサービスぶり。最先端の航空工学に興味のある人には十分楽しめるはず。ドラマとしてみれば、地球人と「フェアリー星人」に分化してゆくような将来を予感させる展開になっている。次回作が楽しみだ。
良巻おすすめ度
★★★★★
この巻は、ストーリーとしては、原作「雪風<改>」中の”戦闘妖精”という章
が基になっている(ただし話の進行・時勢的に機体はメイヴ)。
原作では比較的短く済むこのエピソードを、OVAの利点を生かして
色づけ・味付けしているところが、個人的に非常に面白かった。
とりあえず、単に戦闘シーンのだけでも、手間暇費用かかってる・・・と思える
綺麗なグラフィックだが、
その他、離着艦のシーンといい、
「原作のこの表現が欲しかった(この一文を入れてくれればもっと映えた)」
という点や、
「アニメならではで鮮やか・カッコよくていい」
という点などあるので、原作の該当章に目を通して観ると倍楽しめるのでは、
と思う。
ラストとなる5巻も、このクオリティを保って行っていただけるよう
切に祈るばかりである。
概要
日本SFのオールタイムベストでは必ず上位にランクインする神林長平の「戦闘妖精・雪風」。1984年に発表されて以来SFファンに読み継がれているこの小説を最新技術を用いて2002年よりOVA化。
ジャムと呼ばれる異性体との戦いの末、人類はジャムをフェアリイと名付けられた未知の惑星に封じ込めることに成功した。だが、フェアリイでの戦いは30年以上を経た今も続いていた。最前線で闘うパイロット深井零と、彼が唯一信じる愛機「雪風」。彼らの存在がこう着状態に陥った戦線を変化させていく。
極めて静かなドラマシーンと、とてつもない迫力で迫るドッグファイトシーンとの対比が2D+3D対照的にで描かれ、鮮烈な印象を残す。5.1chの音響が実に素晴らしく、是非DVDで堪能して欲しい。(田中 元)