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春になったら苺を摘みに (新潮文庫)

梨木 香歩
おすすめ度:★★★★★
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おとなのためのお伽噺
おすすめ度 ★★★★★

児童文学というのは童心を忘れない人が書くものだとばかり思っていたが、
人間の弱さや頑なな心や業をひっくるめた人間そのもの、そして生き物全般に
たいする深いまなざしと慈愛があってこそ生まれるものなのだと思った。

梨木さんの著書で小学館文学賞の受賞作でもある「西の魔女が死んだ」を読んだとき、
クウォーターの女の子が英国人の祖母の元で暮らす、その暮らしぶりに土着のものを感じ、
これは体験を通じてしか成しえない表現ではないだろうかと感嘆の思いだったが、
その意味がわかった。

エッセイと呼ぶにはあまりにも多くの物語と土地土地の匂い、人々とのふれあいに
満ち満ちたおとなのための真実のお伽噺。



温かなエッセイ・そのバックグラウンドには「地球」がある☆
おすすめ度 ★★★★★

なるべく相手の考えや境遇を理解しようと思って生きてきた。けれど、本文中の
「分かり合えない、っていうのは案外大事なことかもしれないねえ」という言葉に、ショウゲキ☆

この言葉も、著者である梨木さんがペンを執ると、なんてさりげない温かさを感じるものになるのだろう、と感じた。
他にも、エッセイ風のこの作品には、たくさんの人物が登場。ウエスト夫人を筆頭に、個性的かつK・・(←著者?)が接する人々は著者の類い稀なる洞察力によって、イキイキと描かれている。いろんな人を描いているのではなく、いろんな人種・その習慣を描いている。

「理解はできないが受け容れる。ということを観念上だけのものにしない、ということ。」
さりげなく温かく綴られたこの本には、地球を思う時間を与えられているような気がした。
のんびりと読んでほしい。描写を想像しながら☆

温かなエッセイだけれど、そのバックグラウンドには「地球」がある。



眼差しが深いです。
おすすめ度 ★★★★★

感動しました。梨木さんの下宿先の女主人、ウェスト夫人の稀に見る人となり、ウェストロードというコミュニティのおおらかな温かさ。登場人物一人ひとりが、まるで表紙の春を待つ愛らしい葉っぱたちのように、重なりながら寄り添いながら生きています。共存とは異質なもの、理解を超えるものまでも受け入れ、包み込むこと!しかも聖人君主然としてではなく、生身の人間の温かさで。そして行動する、敢然と。惚れ惚れするような潔さとユーモア。そして随所に散りばめられた思索と洞察の深さが、世界を混沌から救い出してくれるような気にさえなりました。「自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけること…相反するベクトルを…一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか…」という一片の思索に考えさせられました。もしそれが可能であるならば、人類の未来は明るいものになるのでしょう。もし可能でなければ…信念に基づく争いがさらに生まれ続けるしかないのでしょうか。はたして私たちの精神は、もっともっと逞しく、「相反するベクトル」を内包するに耐えうるだけの、そしてさらに調和させうるだけの成長を遂げることができるのでしょうか。



人を信じるという希望
おすすめ度 ★★★★★

ウェスト夫人をはじめとする、登場人物の描写が緻密で分厚い。
わずかな会話から、その人となりを克明に把握できる背景には、技術はもちろん、梨木さんの人間への深い愛情があるように思います。
この慈愛を基礎とした明晰な思考と強い意志が、読んでいる間、心地よい風のようにずっと吹いています。
ナイジェリア人と猫のエピソードのように、楽しく微笑ましい話しもたくさんありますが、人種問題・共存という重いメインテーマが全編を貫いています。
そしてその複雑で巨大な重力に引っ張られながらも、落ち込むことなく滑空し続ける文章は、カバー表紙のように清涼で美しい。
梨木さんにとっての「言葉」というとても大切なものが、この本にはぎっしり詰まっている。



ウェスト夫人の人柄が伝わります
おすすめ度 ★★★★★

ウェスト夫人の温かい人柄と梨木さんの優しい眼差しがこの一冊に詰め込まれています。
他民族との風習の違いに悩み振り回されながらも彼らを受け入れ続ける下宿の大家さん、ウェスト夫人。最後に9.11が語られる際にも、その視点は決してぶれません。民族対立が先鋭化する時代に、その行動や発言はとても強い示唆を与えてくれるものだと思います。
そしてそんな夫人の周りにいる人たちの優しいこと!彼らも夫人とともに悩み、夫人のかわりに憤り、ともに手を携えて胸を張ったコミュニティとして暮らしていること!
読んでいるこちらまで、その一員に容れていただいたような、そうとまで言わなくても、隣のコミュニティからあこがれながら見ているような、あるいは下宿の一員にしていただいたような、そんなホンワカとした暖かさに包まれている一冊です。


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