気持ちが分らない人は幸せ。おすすめ度
★★★★☆
何か賞を取りましたよね。遅まきながら読んで見ました。
読んでいて村上龍の「限りなく透明に近いブルー」を思い出しました。
これも自分の立ち位置がわからない人の物語。
周りとのつながりが希薄で自分が立っているかさえ分らない、そんな女の子が主人公です。
不器用なんでしょうね。ここに出てくる人はみんなそう。
立っている場所が分らないから進むべき道が分らない。
先が見えないから生きて進んでいる実感がない。
とっても刹那的です。でも人はそれでは生きられない。
何処かにつながりや生きた証を求める。
体を改造してみたり、異常なセックスをしてみたり。
何かしらで気分を高揚させて生きている実感を求める。
ちょっと寂しいお話です。
人との関わりは面倒だけれど大事。しがらみというのは動けなくなる分
自分の位置がはっきり分ります。やはり必要な事なのかも知れませんね。
感性が豊かだと言うのは振り子のようで、揺れるから面白く
辛いことも多いのかと、この本を読んで改めて思いました。
独特の世界観おすすめ度
★★★★★
日ごろから小説は推理小説ばかり読む私ですが、久し振りに話題作を購入、完読しました。
他レビューにもあるように独特の世界観です。
ちょっと路地裏の世界という感じでしょうか。
型にとらわれない斬新な作品だと思いました。
キライなヒトにはちょっとしんどいかもしれませんね;
いい意味でも悪い意味でも印象に残るおすすめ度
★★★★☆
身体改造は痛々しく、心も痛い。性行為も普通ではなく超過激な描写や言葉に嫌悪感は否めなかった。でもなんかいいところがあるはずと思って繰り返し読んでしまう。するとこんな世界にも人間らしい感情、優しさや「愛している」という言葉や人を思う気持ちや心配や不安も存在することも感じる。
読後感は悪くない。
おすすめ度 ★★★★☆
帯に書かれた 私の血肉になれ、何もかも私になればいい、何もかも私に溶ければいい。
という言葉がこの本の一番伝えたいことなのかと思いました。
スプリットタン、刺青、SM、殺人などを通して描かれる男女の複雑な愛情。
なぜ自分は生まれてきたのだろうと生きていることの意味を見出せないまま
痛みでしか生きている実感を得られなくなっていく少女。
人を愛しているという感情、自分が孤独ということさえ、感じ取れない。
死という形で自分から去っていった彼、別れの哀しみ。別れのつらさ。
こんなに哀しいくらいなら、愛し合っているあの時に、自分に同一化してくれればよかったのに。
そして、自分がその哀しみを忘れていく事も主人公は分かっている。
哀しみを忘れる前に、愛の証を自分の血肉にした。
生きていく事は全ての哀しみも苦しみも飲み込んでいくことなのかもしれない。