河原の石ころを売ろうと考えるとんでもない話ですが、独特のムードでゆったりとした雰囲気、風吹ジュンや神戸浩の演技が最高によかったです。所々の笑いも分かる人だけに笑えますね、まあ一般向けではないでしょうけど。竹中監督作品ではこれがベストです。このあとの作品はどれも面白みが感じられず好きになりませんでした。
リアルでありながら独特の味を持つ傑作。おすすめ度
★★★★☆
つげ義春関連の映画はすべて良かったですが、中でも一本と言われればこれを推薦したいです。理由はいくつかあります。
他の作品は比較的、つげ義春の世界を忠実に表現しようとしていますが、「無能の人」は、つげ義春の世界に竹中直人の世界がミックスされ、何とも言えない味が出ているからです。奥さん役の風吹ジュンさんもとても良かったです。2人とも無理に漫画の人物に似せようとしないで、普段通りの風貌で出演しているのもいいです。
それでいながら、つげ義春が実際に暮らし漫画のモチーフにもなっている調布市が舞台になっている点が面白いです。主人公が住んでいる多摩川住宅も、つげ家族が本当に住んでいた団地。
親子3人が手をつないで帰る印象的なラストシーン。じつはこの道もつげさんが河原から多摩川住宅に帰る時に実際に歩いていた道なのです。
アホ言ってすみませんが
おすすめ度 ★★★☆☆
良く出来てると思います。映画化されたつげ義春作品って必ずしも「つげの世界」を描いていないケースも多いような気がするのだけれど(結構評判の高い石井輝男が監督した「ねじ式」なんてきわめて原作に忠実に作られているにもかかわらず、意外とつげっぽくないナァと感じてしまうのは私だけ?あと、最近では「蒸発旅日記」があるけど、これって鈴木清順の世界をさらに鈴木清順っぽくしたように − なんのこっちゃ − 見えるんだけど)、この作品は「つげの世界」のある部分を的確に描いてますよね。でも、誰もあえて言わないのかなあ、やっぱり竹中直人さん主演には無理があったような・・・誰が主役だったらよかったかって?いや、その、笑わんでください、フジテレビの港浩一さんあたりが実にはまり役なんじゃないかと常々思ってるんですが・・・ すんません。アホなこと言って。
概要
かつては名を成したこともある漫画家の助川(竹中直人)は、さまざまな商売に失敗した末、多摩川の川原で元手のかからない石を売ることを思いつく。やがて石のオークションが開催されることを知った彼は、妻(風吹ジュン)を伴い、会場へと向かうのだが…。
つげ義春の名作コミックを原作に、コメディアン&俳優の竹中直人が初監督した異色ホームドラマ。大の映画フリークとしても知られる竹中の映画愛は、飄々としながらもうら寂しいユーモアに支えられ、独特の小宇宙を形成し、その異能の人ぶりを発揮する傑作に仕上がっている。キャスティングの妙もこの人ならではで、バラエティ豊かな面々が競って登場する中、鳥男に扮した神代辰巳監督の存在感が際立つ。妻役・風吹ジュンの好演も忘れられない。ヴェネツィア国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。(増當竜也)