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永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)

天童 荒太
おすすめ度:★★★★★
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文句なしに面白い、でもラストが悲し過ぎる
おすすめ度 ★★★★☆

よくこの作品は感動巨編と書かれたりしているが感動はしない(僕はしなかった、衝撃は受けたけど)。緻密に練られた伏線がだんだん一本の太い線になっていく展開力はすごいし、読んだらほとんどの人がハマって、寝る間も惜しんで読んでしまう作品だと思う。

ただ、ラストが結局誰一人過去のトラウマを本当の意味では乗り越えられなかった事が非常に残念だ。同じような体験をした全ての被害者の為にも誰か一人でも完全にトラウマに打ち勝ち今を生きる姿を見せて欲しかった。



悲しくて、悲しい結末
おすすめ度 ★★★★★

たった一つの言葉を、
誰かに言ってもらいたい。

でも、
それは、
だれでも言いわけではない。

たった一つの言葉があったから、
生きていくことができる。

大どんでん返しがありました。
予測できないほどの。
でも、
説得力があり、
悲しくなりました。

悲しくて、
悲しい人たちの物語。
ルフィンとモウルとジラウ。
3人の悲しくも、
回復の兆しを感じる結末でした。



「力」がみなぎった作品
おすすめ度 ★★★★★

作者の代表作品。
直木賞の選考では、選考委員の大先生方に「作品が長すぎる」「子供同志の会話が子供らしくない」等々の評価を受けたようであり、実際読んでみると、なるほどその通りである。しかし、その不器用さゆえ、読者に強いメッセージが伝わっているように思う。作品自体は過去と現在に起きた殺人事件を軸に展開するミステリーとなっているが、まず作者が作品を通して伝えたいメッセージがあり、その表現方法としてミステリーを選択したように感じた。とにかく「力」がみなぎった作品である。



とにかくいい。
おすすめ度 ★★★★★

この本に託されているのは<生きる>という事。生きる意味でも生きる価値でもない、もっと端的で根本的な意味での<生きる>。
残酷で悲しいお話です。こうじゃなければいいという読者の予感はことごとく的中していき、予想もしなかった悲劇が主人公達を苦しめます。
しかしその悲しさの後ろに隠れていた人の空回りなやさしさや努力、そこに胸を打たれます。そしてそこにこそこの本のミステリーとしての楽しみも見出しました。
主人公達は最後まで悲惨です。しかしその悲惨さの中、この後も主人公達には多くの試練があるだろうと予測させながらもでどこか爽やかな読後感、そこに作者の力量を感じました。
物語は現在と過去、二つが交互に進んでいきます。しかし文章も巧みかつ話の展開にきれがあるのですぐに引き込まれます。現在編がいいところで終わっても過去編へすっと入っていくことが可能です。
ラスト二行、泣きました。あれを泣かずして何を泣きましょう。



ミステリーとしては・・・
おすすめ度 ★★★☆☆

私としては何となくミステリーとしては中途半端な印象が…。
虐待される子供達の心情は痛いぐらいに伝わってきて、苦しいほどです。
また大人の言い訳も屁理屈ながらも、「こういうことをいう大人っていそう...」と思えるリアリティがあります。虐待の描写も生々しく、
充分読み応えがあります。ただ、その虐待の描写に物語が集中しすぎて、
ミステリーとしての殺人の動機や謎かけが甘い気がします。
それぞれが苦しんだのはすごくよくわかるけど、最後にどうしてこの人が
こういう行動に出るの?というのが、納得が行きませんでした。
しかし、「児童虐待」というテーマをここまで掘り下げたことは評価
できると思うし、ミステリーとしての醍醐味を期待しすぎなければ、
読む価値は充分ある物語だと思います。


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