正解のない問題おすすめ度
★★★★☆
「深度40m、ボンベ残圧30キロが1個のみで二人が取り残された。ひとりの片道分だけの量だ。おまえたちならどうする。」何度も源教官から訓練生に出される質問。
1回目の質問、だれも無言で時間切れ。
2回目の質問、優等生の三島は「強い方(生き残る可能性の高い方)が戻ります。」と答える。
対する仙崎は一言も発せず。
3回目の質問、今度は仙崎だけに。仙崎は「二人とも生き残る方法を考えます。」と答える。
源教官は、現役時代に同じ経験に会い(バディ=ペアを組む相手 が沈没船に挟まれて身動きとれず)、残圧ゼロ近くまで粘ったが救出できず、急速浮上で潜水病になり二度と潜れぬ体になった。
訓練の最終日、水深40mで三島、仙崎は潮流の急変で流され、海底で三島は岩に足を挟まれる。仙崎は残圧ゼロを超えてもがんばる。源教官は自己判断で危険な捜索を訓練生にやらせ、ぎりぎりで二人を救助する。
査問委員会にかけられる源教官。訓練生の機転で「これも訓練」という 「大岡裁き」がとおり不問となる。
冷静に考えれば、三島の回答が正しい。しかし、人はそこまで冷徹にはなかなかなれない。多くの人は源のようにぎりぎりまで粘った結果、自分の体を壊し、運が悪ければ自分も死ぬ。
仙崎の行動は英雄的だが、二人とも死んでいた可能性が高いし、源教官の判断も、ひとつ間違えば二次遭難者を出していた。
とても第三者がとやかく言える問題ではない。(規則上の判定はさておき)道義上は、そのとき現場にいた者の判断が正解である。
海上人命救助の熱き男達ににスポットを当てた、青春映画の良作
おすすめ度 ★★★★☆
海上保安官の潜水士という人命救助のエキスパート
その潜水士になるまでの熱血青春ストーリー
自分の命もいつなんどき失うかも分からない
人命救助という崇高だが命懸けの危険な仕事。
その人命救助の潜水士になるまでの厳しい訓練と鬼教官。ライバル。
体育会系のノリと、徐々に結束を強めていく掛け替えのない仲間、そして恋愛。
海上保安官や水難事故のリアリズムを随所に取り入れ、
熱血青春ストーリーの王道を行く筋書きで、
伊藤英明や伊藤淳史、加藤あいの演技も冴えており、
とても素直でストレートに気持ちが良く、観ている者に力を与えてくれる。
海中では、必ず二人一組でタッグを組む。それをバディと呼ぶ。
バディと海中で事故に遭い、海上に戻る酸素が一人分しかない、そんな時どうする?
過酷な状況での究極の選択肢を迫られる。厳しい職業、海上保安官。
そんな海上保安官の熱き男達ににスポットを当てた、青春映画の良作である。
概要
すべての海上保安官の中でわずか1%の人間しか到達できない海難救助のエキスパート“潜水士”。海上保安官14名が死と隣合わせでもあるこの“潜水士”を目指して、50日間に及ぶ極限の訓練に挑んでいくことになるのだが、ある哀しい事故が起きて…。
最近ひねた演出が目立つ中で、この映画では驚くほど素直な演出を見せている。直球すぎて、キスシーンにジャーニーの主題歌が重なる場面などは、見てて照れてしまうほど。だがそれゆえに辛く苦しい訓練に耐え、1人前の潜水士になろうとする男たちの友情にストレートに感動して泣ける。さらに実際に出演者は合宿状態で過ごし、役名で呼びあうなど訓練生同様の生活をしたおかげで、カナヅチだった伊藤淳史は潜れるように。そのドキュメンタリーのような要素がドラマに深味を与えている。(横森 文)