大人が読める品格ある長編小説 おすすめ度 ★★★★★
久しぶりに品のある長編小説だった。
ドラマチックな展開が起こるわけではないが、それなのに読後の充実感はいったいなんだろう。読後数日間はこの小説に包まれいる感じがして心地よさが残るのだ。
おそらく主人公が聴覚をわずらい、目的のない旅に出、しだいに心を開いてゆき癒されてゆくさまを読みながら疑似体験したからだろうか。心を開いていく過程での温かな人々との出会いが心に残る。
最近ではめずらしく禁欲的だったと思うが、物足りなさのようなものはなく、ラストがまた素敵だった。
今のこの時代に求められるテーマ「癒し」や「救い」が描かれたすばらしい作品だと思う。
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