映画館で初日に見て、数日後にもう一回見てしまいました。合唱経験者ですが、合唱ってなんて素晴らしいんだろう、ということを再認識致しました。七浜高校の演奏にも、湯の川学院の演奏にも大感動で、歌のシーンではほとんど泣きながら聞いていました。コンクールの審査員に○スペラーズが!?というのも面白かった。DVD必ず買います!
いいぞ夏帆、うまいぞゴリおすすめ度
★★★★★
監督は「タナカヒロシのすべて」の田中誠。この監督は、間の取り方が上手く、この作品に出てくるシュールなキャラクターたちを自在に操る。オフビートな笑いも含め思わず噴き出してしまう場面を作り出すのが上手いですね。それに、主演の美少女夏帆が『変な顔』ぶりを堂々と見せてくれるし、天然系のコメディエンヌぶりも発揮し、期待に応える。
ストーリー的には、個人プレイで浮いている主人公がチームワークに目覚めて成長していくという王道というかベタなんですが、笑いと感動のバランスがいい。笑わせておいて、ちゃんと最後に感動モードに入るところなんかお約束ながら拍手ものです。
そして、(心を)フルチンで裸になって歌えと説く、ガレッジセールのゴリが名脇役ぶりを発揮。35歳ながら高校生として張っていて良かったです。不良高校生なんですが、何だかんだ言って健全なんですよね。健全な不良高校生って、ありえないような気もしたんですけどね。(笑)
単に合唱だけではなく、夏帆の牧村をめぐる恋物語やら、合唱部内での練習、合唱部顧問の薬師丸ひろ子の過去、はたまた北海道予選での湯の川学院の騒動やら、観客を飽きさせることなく、話は進みます。惜しむらくは、仲間である楓(亜希子)やミズキ(徳永えり)の友情物語のシークエンスがあってもよかったかな。
クライマックスは、当然、合唱コンクール。感動部分もよく演出されていたし、ゴスペラーズの曲「青い鳥」という選曲も良かった。
あたしが産卵する日おすすめ度
★★★★★
函館港イルミナシオン映画祭第8回シナリオ大賞に輝いた作品を基に作られた映画です(北海道ロケは全くありませんが・・・)。確かオリジナルタイトルは「あたしが産卵する日」だったと思いますが、映画のタイトルとしては誤解を招きやすいので「うた魂」に変わったようです。
夏帆が演じる女子高生は合唱部のソプラノパートリーダーで、ある日イケメン生徒会長に歌う姿を写真に撮らせてと言われ、有頂天になったものの、生徒会長から「歌う姿が産卵中のシャケみたいだ」と言われショックのあまり退部を決意してしまう。そこへゴリ率いる他校の不良合唱部が現れ、叱咤激励されながらも合唱の本当の素晴らしさを見出していく・・・というストーリーです。
主演の夏帆ちゃんも可愛いんですが、私はピアノを猛特訓して頑張った徳永えりちゃん(「フラガール」で蒼井優ちゃんの親友役を演じて注目された女優さん)がお気に入りです。
ちなみに、映画で歌われた主要曲の楽譜が、合唱指導付きで発売されているそうです。
柳の下にどじょうがまたいました。高校時代に戻りたいと思わせる秀作です。
おすすめ度 ★★★★★
スウィングガールズ等に連なり、部活動を通じて主人公が成長し人の輪が広がる様を描いた作品。またかと思う人もいるかもしれないが、私が劇場やDVDで観たこの種の作品の中では一番感動した。監督が「彼らを見て、高校時代に戻れるなら戻りたいと初めて思った」と語っているのも納得でき、事実私もそう思った青春謳歌の傑作である。合唱部の話なので、高校時代に合唱部に在籍していた妻とこの映画を観たのだが、妻も普段合唱部の合唱には関心のない私も本作品で繰り広げられる歌、合唱には文句なしに魅了された。選曲がユニークで、主人公達の女声コーラスもさることながら、特に尾崎豊の曲を歌う湯の川学院の男声合唱の迫力には圧倒された。この常識破りの、しかし歌にソウルをこめた合唱は本物で最大の聴きものだ。最後の「奇跡」に至る流れにも不自然さは感じない。薬師丸ひろ子、間寛平等の脇役もツボを心得た演技で、特に薬師丸ひろ子の最近の充実ぶりは本作でも光っている。夏帆がソプラノパートリーダーであること、ゴリが高校生を演じていることに違和感がないとは言えないが、そういったことはすべて吹き飛ばすだけの、歌、合唱そして青春時代の輝きに満ちた作品だ。そしてこう思う。ああ、ひと夏でよいから北海道で高校生活を過ごしたかった!